電車の運転士

旅客から貨物まで、列車を安全かつ快適に運転する仕事

乗り物に関する仕事

こんな人に
オススメ!
  • 列車が好きな人
  • 時間管理をしっかりと行える人
  • 健康管理ができる人

1.電車の運転士の仕事とは?

電車の運転士とは、電車(動力車)を運転する資格を持ち、旅客から貨物まで、公共交通機関たる列車の運転に携わる人のことです。

運転席を外から覗いてみると、座ってレバーを操作しているだけに見える電車の運転士ですが、「乗客を安全に目的地まで運ぶ」「時間どおりに運行する」という2つの義務を両立させるため、様々な作業をこなさなければいけません。車庫では、電車が正常に加速・減速するか、搭載機器に異常はないかなど各車両を点検し、駅では車掌と連携して乗客とホーム上の安全を確認します。走行中は常に信号機や踏切など、指差称呼により意識的に安全確認を行い、ダイヤグラム(ダイヤ・列車運行図表)と時計を見比べながら、時間どおりの運行を目指します。揺れや振動を発生させない運転操作も大切です。司令所(指令所)からの情報・指示に耳を傾け、全線の運転状況や進路上の安全を確認し、トラブル発生時は事故の拡大防止と乗客の安全確保に全力を尽くすなど、運転士は、運行に関わるあらゆることを1人でこなしているのです。

特例として、次の交代駅へ向かう運転士やレールを点検する保線員、技能講習中の見習い運転士などを同乗させることがありますが、原則として、運転台に入れるのは運転士1人です。乗客の生命と財産の守り手として、運転士の責任は非常に重いといえるでしょう。しかし、それだけやりがいが大きく、名誉な仕事ともいえるのです。

2.電車の運転士の役割・資質とは?

「何よりも安全で、可能な限り正確に」というのが、公共交通機関である電車の運転士へ課せられる大きな義務です。

運転中には、信号機などの設備故障や乗客の中に急病人が発生するなど予期せぬ事態も起こりえます。すると、予定されているダイヤから時間がずれ込みますが、それでもむやみに焦らないことが重要です。何よりも安全を第一に考え、冷静さを失ってはなりません。感情をコントロールできる人、どんなときにも冷静でいられる人に向く仕事といえます。

また、安全に運転するためには体力と健康も重要です。どんな長距離の列車でも、乗務中は運転席で座りっぱなしです。中座することはできません。それに耐えうる持久力も大事でしょう。もちろん、体調不良のまま乗務することは禁止されています。アルコールの摂取や睡眠時間の調整、日々の健康の維持など、徹底した自己管理が求められます。

3.電車の運転士になるためには?

電車の運転士になるためには、運転士希望として鉄道会社の採用試験を受け、就職するのが一般的です。しかし、入社後すぐに運転士になれるわけではありません。まずは沿線の駅に勤務し、駅務を数年こなします。次に車掌の登用試験を受けて合格し、車掌業務を経験したあとに初めて運転士の登用試験を受けることができます。国の定める基準にもとづく身体検査や適性検査などに合格すると、運転士見習として国土交通省指定の動力車操縦者養成所へ入所します。

養成所では3~4カ月間の学科講習後、学科試験を受験します。合格すると実際の路線で4~5カ月にわたる技能講習に臨み、技能試験に合格すると、ようやく動力車操縦者運転免許証が交付され、運転士としての勤務がスタートします。

運転免許証には蒸気機関車・電気車・内燃車(ディーゼル車)・新幹線電気車などの他、甲種乙種・第一種・第二種と細かい分類があります。鉄道会社の所有車両に対して免許を取得する必要があるため、運転したい車両がある人は、その車両を所有する鉄道会社を目指しましょう。

POINT

  • 列車を安全かつ快適に運転する
  • 数年間の業務と専門講習を受けて動力車操縦者運転免許を取得する

関連情報

●日本鉄道運転協会 HP

協会主催の講習会(法人会員の社員対象)や運転技術に関する出版物などの情報を提供している

オススメの1冊

『電車の運転――運転士が語る鉄道のしくみ』

(宇田賢吉著/中公新書)

元JRの運転士である著者が、職人技的な運転技術と精緻な運転システムを解説した1冊

シミュレーターや運転席を体験できる一般公開日を設けている鉄道会社もある

INTERVIEW

現役の電車の運転手に聞きました

小田急電鉄 大野電車区 指導主任兼配車係

高田 諭史さん

PROFILE

たかだ さとし
中央大学 法学部卒業

 電車に乗るのが大好きで、ガタンゴトンという揺れ心地に魅せられた少年期を過ごし、電車と運転士の制服にあこがれを抱き続けた高田さん。
 その「夢」をかなえた今、実際の運転士の仕事についてうかがいました。

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お仕事の内容は?

 小田急線を走る特急ロマンスカーをはじめ、通勤車両すべての電車に乗務しています。宿泊を伴う勤務形態を基本として、3日間の休日を含む11日勤務のサイクルで、始発から終電まで交代しながら決められた車両の運転をしています。
 乗務前には、電車区(運転士が所属する職場)で各種指示の確認や注意事項の伝達・アルコール検査・健康チェックなどが行われ異常がなければ決められた時間に乗務する電車へ向かいます。日中は駅のホームでの交代が多いのですが、車庫から出発する場合には車庫点検を行います。運転台や車両床下あるスイッチ類・機器類・台車を含む各車両すべてを点検し、異常があれば改善指示、または報告をします。
 乗務中は信号を指差確認呼称(対象を指差し、声に出して確認)し、車掌や運輸指令所と連絡を取りながら安全運転を心掛けています。また、特急ロマンスカーの他、急行・準急・各駅停車といった列車の種別や、編成両数(6両・8両などの編成)の種類が多いため、常に誤りのないように細心の注意を払うことが大切です。
 電車の運転士には、お客さまの生命と財産を預かる重い責任が求められます。運転操作のミスはお客さまが怪我をする危険性にもつながり、場合によっては命に関わります。適度な緊張感を維持しつつ、運転に集中することが大切です。
 泊りの日は、沿線各所にある乗務員宿泊所で仮眠を取ります。時間も不規則ですので、日頃から十分な健康管理を心がけています。

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このお仕事の醍醐味は?

 例えば、電車が無事に新宿へ到着すると非常に大勢のお客さまが電車を降りていきます。特急ロマンスカーであれば、箱根や小田原などの観光地へ向かう方々が笑顔で電車を降ります。そうしたお客さまの姿を見ると、「これだけ大勢の人にご乗車していただき、お客さまの仕事やお楽しみの役に立つことができた」と心の底から嬉しくなります。
 また、運転台に座っていると色々な風景が見えます。沿線には季節ごとに色とりどりの花が咲き、子どもたちが手を振ってくれます。そうした季節の移ろいや暮らしの一場面を目にすることができると、気持ちがいいものですね。

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電車の運転手を目指す人にアドバイス

 動力車操縦者の免許を取得するためには、指定された養成所へ通い、学科や実技などの専門的な訓練を受けることになります。そこでは、鉄道に関する法律や電車の構造・性能のように、初めて学ぶものがある一方で、速度と距離・時間の計算を多用する「運転理論」や、オームの法則・フレミングの法則といった電気や物理の知識を必要とする「鉄道電気」といった科目もあります。高校生のうちに数学や物理をきちんと学んでおくと、非常に役に立つはずです。
 また、一般教養の試験もありますので、新聞をしっかり読み、社会の常識や出来事を把握しておくことも大切です。

ある日の高田さん

  

12:00

出勤。出勤点呼。乗務開始。

15:30

休憩後、乗務開始。シフトにより、どの車両に乗るかが決まる

18:00

休憩、夕食

19:00

乗務開始。ラッシュ時間帯なので乗客に細心の注意を払う

21:00

休憩後、乗務開始。当日のシフトにより終了駅や時間が変わる

22:30

乗務終了。退出点呼後、乗務員宿泊所で就寝

4:00

起床。身支度し、制服に着替えたら乗務準備。出勤点呼

10:00

乗務終了。退出点呼。退勤

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