09-31.文化財修復技術者

ものづくりに関わる仕事がしたい

こんな人に
オススメ!
  • 歴史や美術全般に興味がある人
  • 手先が器用な人
  • 根気と粘り強さのある人

1.文化財修復技術者の仕事とは?

絵画や古文書、建造物や仏像などの文化財の傷みを診断して、修復を行う仕事です。絵画や古文書などを、現在の保存状態で維持するために、必要に応じた修復技術を使います。仏像や寺社などは、大規模なものになると工事に何年もの期間を要することがあります。

文化財は唯一無二のものです。したがって、修復作業には失敗が許されません。一人前の仕事ができるようになるためには、長年の実務経験を積まなければなりません。最初は、古文書などを貼り合わせる特殊なの・り・を作ったり、作業の準備など修復作業をサポートすることから仕事を覚えていきます。無数にある古文書の虫喰い穴を1つずつ埋めるなど、工房での地道な作業も行います。

文化財を修復するためには、まず作業の前段階として文化財の材質や歴史的な背景などの下調べも行います。歴史文献の調査においてはデスクワークをこなせる能力も必要です。

2.文化財修復技術者の役割・資質とは?

普段から美術館や神社仏閣を訪れるなど、文化財に強い興味がある人がこの仕事に向いているでしょう。作業自体は繊細で地道な作業の連続です。長時間地道に根気強く作業を続けられる努力が求められます。汚れ仕事が多く職人的な気風が強い職場なので、技術者は男性が大半を占めていましたが、比較的繊細な作業を得意とする女性の進出も多くなっています。

文化財の修復には、その作品が作られた歴史的な背景を知ることも大切な作業です。美術史や歴史などの知識を積むことも大切です。なお、文化財を汚したり傷つけたりする恐れがあるので、女性の場合は、化粧やアクセサリーの着用を禁止する工房が多いです。汚れ仕事を厭いとわない姿勢も大切でしょう。

実務経験が少ない若手には、業務時間後に自主練習を積み、先輩の仕事を見て学びつつ、自分で課題を見つけて鍛錬していく自主性も求められます。

3.文化財修復技術者になるためには?

文化財修復技術者になるための資格は特にありません。美術系の大学や専門学校・大学の史学科や文化財学科を卒業して修復工房に就職し、長年修業を積みながら技術を習得していきます。油絵などを修復する技術は、ヨーロッパなどに留学して習得する人もいます。優秀な文化財修復技術者は、国内に限らず海外にも活躍の場が広がります。確かな技術さえ備えれば、海外進出が期待できる職業といえます。

国宝や文化財の修復を行っている工房は、全国に10カ所程度です。その他にも、絵画など個人所蔵の作品の修復を請け負う工房もあります。神社仏閣などの建造物を修復する宮大工と協力しながら、建築物の彫刻などの装飾物を修復する共同作業も行われています。なお、日本国内では、国宝・重要文化財を中心とした文化財の保存修理を専門的に行う修復技術者集団「国宝修理装潢師(こうし)連盟」が、国の選定保存技術である「装修理技術」の保存と発展・向上を図るべく文化財修理とそれに関連する諸事業を展開しています。

東京大学などでは、国宝を科学的に検証する研究室があります。一方、研究機関や美術館は考古学的なアプローチで文化財に関わることに重点が置かれています。自分の希望と照らし合わせながら進路を考えましょう。

貴重な文化財は世界各地に存在し、修復を重ねつつ現在まで受け継がれてきました。文化財の修復は、人類の財産を守る価値ある仕事です。

POINT

  • 文化財の傷みを診断し、修復を行う
  • 仏像から油絵まで取り扱う文化財は広範囲にわたる
  • 失敗が許されない繊細な作業が続く

関連情報

文化財保存修復学会 HP

文化財の保存に関わる科学・技術の普及を目的とした学会。修復専門家の養成セミナーなどの情報も掲載されている

オススメの1冊

『壊れても仏像――文化財修復のはなし』

(飯泉太子宗著/白水社)

文化財修復のプロが、仏像の内部などの技術者らしい角度から仏像の魅力を解説した1冊

大卒で初任給はだいたい20 万円。納期が集中する年度末は残業も多くなる

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